とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
更にニックが追い討ちをかける。
『この時期は配達員も不足するだろうから、もっと時間かかるんじゃないか?』
『ああ、そうだな…俺は妻と住んでるからいいけど、離れているヤツらは大変だよな…』
『しかも品薄になるからロイももう用意したって昨日言ってたぜ?』
『うむ。それが普通だろう。まさかまだ用意してないなんて…』
二人のやり取りに発狂したように声を上げて右京は立ち上がった。
『わかったよ!!今から行ってくるから!!』
半ば『行けばいいんだろ!?』と逆切れしながら出て行く右京を見て二人はクスクス笑った。
ニックは画面に視線を戻しキーボードを再び叩き出した。
出来上がった文書を読み返してみる。
“─今回は古文書に関する記事を書く事にしようかと思う。
ついては取材の為に人材を一人お願いしたい。
この前言っていた新人はどうだろうか?
この先担当にと言うのであれば顔合わせを兼ねて派遣して貰えると有り難いのだが─”
ニックは『こんなもんかな』と言いながら“送信”ボタンを押した。