とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
研修期間
忍に出版社から連絡が来たのはその翌日の夜だった。
『黒崎さん、急で申し訳ないんだが明日出版社に来て貰えないか?』
突然の話にちょっと驚きながらも『わかりました』と返事をして電話を切った。
まさか内定取り消しだったらどうしよう…
そんな事を考えていたら卒論も全く手に付かなくなってしまった。
まだ時期的に卒論は全然早いからいいのだが、内定を取り消されたら一大事である。
『ど…どうしよう…』
首から下げたロザリオを握り締めて部屋をうろうろ歩き回る。
そうだ、右京に電話して話を聞いて貰おう。
携帯を開いてリダイヤルしようとしてその手を止めた。
『…そういえば喧嘩してたんだ…』
都合よくこんな時だけ電話する訳にはいかない。
突然手にしていた携帯が鳴って思わず落としそうになった。
『なんだ…メールか…』
右京からのメールで“明日のこの時間に電話する”と書いてあった。
本当は今話がしたいのだが、こんな状態で電話したらロクな結果にならない気がした。
忍はため息をついてベットに腰を下ろすと“電話待ってるね”と返信をした。
そのまま布団に寝転び気持ちを落ち着かせるように目を閉じた。