とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
結局そのまま寝てしまい、危うく約束の時間に遅刻しそうになって忍は焦った。
イルミナティ出版社に着いたのは約束の2分前で、文字通りギリギリだ。
ホッと息をついて受付で担当の新庄に取り次いで貰った。
「黒崎さん!良かった、来てくれて…」
「いえ、こちらこそギリギリになってしまってすみませんでした。」
新庄は笑いながら会議室と書かれた部屋に忍を通した。
「実はちょっと問題が起きてね…」
問題…
ドキドキしながら新庄の話を待つ。
言いづらそうな新庄に不安が募り変な汗が出てきた。
「ニコールから先日連絡が来てね…。
早急に取材に人を派遣して欲しいと言われてね…
担当になるんなら是非君をと言うんだ…」
忍はゆうに3秒は空けて「へ?」と気の抜けた返事をしてしまった。
「でね?もし出来たら年末前にイギリスに行って貰えないかな~…」
「も…もちろん行きます!大丈夫です!
良かった~…てっきり内定取り消しかと…」
「え!?まさか!!
いや~僕も先に内容話しておけば良かったね…
でも助かったよ~」
新庄は忍にそう言いながら人の良さそうな笑みを零した。