とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
新庄は書類の説明やらイギリスでの話やらを始めた。
期間は2週間。宿泊場所はニコールが仕事用に借り上げてるアパートがあるらしい。
「年内には帰って来れるように飛行機のチケットを用意しておくよ。
あと向こうで必要なものは全て経費で落とせるから。
ニコールの連絡先は後でメールしとくよ。」
次々と早口で話す新庄の言葉をメモしながら「はい、はい」と相槌を打つ。
最後に「何か質問は?」と言われ、忍は新庄にニコールに挨拶の電話を入れてもいいかを聞いた。
「もちろん構わないよ。基本的に彼はいつでも出れるはずだから。」
彼…?また言い間違い?
「あの…彼って…ニコールって…」
「あれ?言ってなかったっけ?ニコールは男性だよ。」
衝撃の事実に忍は開いた口が塞がらなかった。
夜になり右京から電話が来ると、忍は喧嘩をしていたのを忘れて興奮気味に今日の事を話した。
「待て待て!ニコールからの派遣を要求して来たのか!?」
「そうなの!どうしよう…緊張する…」
「いや…緊張する必要はないけど…ってかあの野郎…何考えてんだ…」
「でねでね?ちょっと挨拶の電話をしようかと思ってんだけど…」
「…話したいの?」
「そりゃまぁ…」
「俺と話してるのに他の男と話したいの?」
そう右京に言われ忍は「ん?」と一瞬間を置いた。