とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「右京。なんでニコールが男だって知ってんの?」
「…さっき自分で言ってたじゃねーか…」
あまりにも興奮していて自分が言った事もよくわからない。
「まぁ、とりあえずクリスマスはこっちで一緒に過ごせるのは嬉しいよ。」
「そうだね。
右京…早く会いたい。」
「ん。俺も会いたいよ。」
右京はそう言って電話を切ると、目の前でアホ面こいて寝ているニックに蹴りを入れた。
『ニック!!起きろ!』
『なんだよ…クロウ、機嫌悪いな…』
横で電話の内容を聞いていた虎太郎はアランと顔を見合わせてやれやれと肩をすくめた。
『どうやらクロウは我慢の限界のようだね…』
『そうなるんじゃないかと思ってたよ…』
アランと虎太郎は右京とニックの様子を頬杖をついて眺めた。
『クロウ…何を怒ってんだ?』
『お前、出版社に新人を派遣してもらうよう頼んだらしいな…』
『ああ。その方が手っ取り早いしね。
それに若い女の子らしいんだよ~…ってなんで知ってんだ?』
『…変なマネしてみろ…ぜってー殺す!!』
『はぁ?そんなのわからないじゃ…っておい…!?
ちょ…!?痛い痛い痛い!!』
問答無用でコブラツイストをかけられたニックが悶え苦しむ様子にアランと虎太郎はため息をついた。