とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ニックの関節が外れる前に虎太郎がふたりを引き離す。
『ほら右京も落ち着いて!』
『ふたりとも大人気ないねぇ…』
アランは苦笑いしながらニックに状況を説明した。
『…それってマジか?』
『マジだよ。』
『すげーっ…!マジですげー!』
ニックは興奮気味に『すげー』を連発した。
『クロウ、俺に感謝しろよ!?』
『…なんだって?』
『だって俺のおかげで彼女と会えるんだろ?
俺ってすげー!』
連発していた『すげー』は“俺”に対するものだったらしい。
再びニックに関節技をかけない様に虎太郎が右京を押し留めた。
『俺とニックが繋がってんのは不自然だろ?
忍から電話が来ても絶対言うなよ!?』
『それは俺からも忠告するよ。
P2は秘密結社だ。』
右京とアランの言葉にニックは『わかってるよ』と頷いた。
本当にコイツ大丈夫なんだろうか…
そう疑問に思っていると突然ニックの携帯から着信音が鳴り響いた。
みんなの視線が一斉にニックへ注がれる。
『はい。
…ああシンジョーから話は聞いているよ。
…こちらこそ!助かるよ。』
会話から察するに、なんとか大丈夫そうだ。