とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『内容については会った時に話すよ…ふたりきりで…』
右京の顔をチラリと見てニヤニヤ笑いながらニックは続けた。
『…そうか、恋人がいるのか~…大丈夫、大丈夫!そういうの俺気にしないから~』
ふざけんな!気にしろ!
右京の眉間のシワが深くなる。
ニックがわざとからかう様に言っているのはわかっている。
この挑発に乗っちゃダメだ…
『…宿?あ~心配しなくていいよ、俺の家に泊まればいい。』
乗っちゃダメだ…
『もしも何か間違いが起きても、家にはふたりきりだから黙っておけば…』
乗っちゃ…
『そうそう。アバンチュールだよ。ロマンティックだね~』
…無理!!…限界だ!
『んの野郎…!!今すぐ息の根を止めてやる!』
『だぁ~!!右京、落ち着け!』
『ぶぁははは!とっくに通話は切れてんだよ!
青いね~クロウ~』
ざまみろと逃げ回るニックとそれを追い掛ける右京…右京を止める虎太郎のせいで騒然となる様子にアランは頭を振って出て行くのだった。