とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
リビングには大きな本棚が設置され、ぎっしりと詰め込まれている。
大型テーブルと向こう側には執筆用のデスクがあるが大量の原稿が積み重ねてあった。
「よくわからない物ばっかだから触っちゃだめよ?」
確かにこれだけ書籍やら原稿があったら何が何だかんだわからないだろう。
右京は忍の後を追ってダイニングに来ると荷物をテーブルの上に置いた。
空っぽの冷蔵庫に食材を入れると、野菜を刻み始めた忍の後ろ姿を見つめた。
髪が腰まで伸びて無造作に束ねられている。
「こうやって忍を眺めるの…久しぶりだ…」
忍は手を休めずに「そうね~」と笑った。
右京は忍に近づいて後ろから腰に手を回した。
首筋に唇を這わせると忍がピクンと反応した。
「右京…料理中だから危ないよ…」
「ん…早くして。お腹すいた。」
そう言いながら忍の耳元にキスを落とす。
「あッ…ちょ…」
「…忍…やっぱりそれ後にしようよ…」
「すぐ出来るのに…」
「…やだ。待てない…」
忍から包丁を取り上げるとまな板の上置いた。
右京は忍を自分の方に向かせて軽く唇を啄むようにキスをすると愛おしそうに見つめた。