とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
右京が照れを隠すように、コーヒーを手に取ると叔父が思い出したように身を乗り出した。
「そういえば…親父が言ってたんだが…お前が“妖怪”だって本当か?」
その言葉に一瞬固まって右京は叔父を真っ直ぐ見てゆっくり口を開いた。
「…それ師範が言ったの?」
「いつも電話であのカラス天狗め!って言ってるぞ?」
「…まぁ…似たようなもんかな…」
昔から右京が特別な力を持っている事を知る二人は、人間ではない事にさほど気にした様子もなかった。
「見たいわね…」
「見たいな…」
「え!?…今!?」
期待の眼差しにちょっと怯みながら右京は静かにカップを置いた。
「あのさ…言っとくけど絶対に口外しないでよ?」
「しねーよ。しねーから見せろ!」
ちょっと躊躇いがちに立ち上がると上着を脱いだ。
「相変わらずムカつくくらいガタイがいいな…」
「右京!腕に…いっ入れ墨が…
まるでギャングじゃない!」
「ちっ…違うよ!これは入れ墨じゃないから!」
今にも泣き出しそうな叔母に右京は困って頭を掻いた。
「あ~もう、分かったよ。説明するから…
これは契約証なんだ。」
そう言って床に手を翳して魔法陣を出現させた。
空間が少し歪む…
青白い光に叔父と叔母は息を飲んだ。