とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



忍は黙って席を立つと食器を片付け出した。



「忍…冗談だからな?」


「当たり前でしょ!
ほら、テーブル拭きなさい!」



そう言って布巾を投げつけられ「はい」と素直に従う。



「そういえばニコールとの打ち合わせはどうだった?」


「ああ…なんか関係ない話ばっかされて全然進んでないのよ…」



だろうな…



わざと時間引き伸ばして邪魔してるとしか思えない。



「変な事されなかった?」


「ぷ…何の心配してんのよ。
あるわけないでしょ!?」


忍は何かを思い出したように鞄をごそごそと探り始めた。


そして2本の鍵を取り出すと右京に「はい」と渡した。



「ここの鍵。右京に渡していいって。」



つまり手伝えって事だな…



「いいの?なんで2本?」


「ひとつは私の使うプライベートルームの鍵よ。」



右京はふーんと言ってその鍵を手に隣の部屋に移動した。


施錠を外して扉を開けると忍の部屋は角部屋だった。



「殺風景な部屋だな。」



飾り気が無く、なんとなく寂しい感じの部屋だった。



「忍、あの部屋大丈夫か?」


「何が?」


「忍の事だから寂しくて寝れないんじゃねーの?」



忍は「そこまで子供じゃない」と笑った。



< 362 / 474 >

この作品をシェア

pagetop