とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
忍は黙って席を立つと食器を片付け出した。
「忍…冗談だからな?」
「当たり前でしょ!
ほら、テーブル拭きなさい!」
そう言って布巾を投げつけられ「はい」と素直に従う。
「そういえばニコールとの打ち合わせはどうだった?」
「ああ…なんか関係ない話ばっかされて全然進んでないのよ…」
だろうな…
わざと時間引き伸ばして邪魔してるとしか思えない。
「変な事されなかった?」
「ぷ…何の心配してんのよ。
あるわけないでしょ!?」
忍は何かを思い出したように鞄をごそごそと探り始めた。
そして2本の鍵を取り出すと右京に「はい」と渡した。
「ここの鍵。右京に渡していいって。」
つまり手伝えって事だな…
「いいの?なんで2本?」
「ひとつは私の使うプライベートルームの鍵よ。」
右京はふーんと言ってその鍵を手に隣の部屋に移動した。
施錠を外して扉を開けると忍の部屋は角部屋だった。
「殺風景な部屋だな。」
飾り気が無く、なんとなく寂しい感じの部屋だった。
「忍、あの部屋大丈夫か?」
「何が?」
「忍の事だから寂しくて寝れないんじゃねーの?」
忍は「そこまで子供じゃない」と笑った。