とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
取材
布団の隙間から入り込んだ冷気に身震いをして忍は布団をたくし上げた。
どこかで鳥の囀りが聞こえる。
ごろりと寝返りを打って仰向けになるとゆっくり目を開けた。
「…どこ…だっけ?」
しばらくボンヤリ考えてからそこがイギリスでの滞在先である事を思い出した。
「…さむッ…」
やっと自分が何も着ていない事に気付いた。
室内を見回してみたが右京は居ない…
「…いつ帰ったんだろ…」
布団をズリズリ引きずってトランクまで移動して行くと洋服に着替えた。
「…部屋の鍵かけてくれたんだ…」
仕事場と化しているリビングを横切りダイニングに向かう。
もしかしたらまだ右京がいるかも…と思ったが、そんなはずもなく少しガッカリした。
ヤカンでお湯を沸かしホットコーヒーを入れるとダイニングの椅子に腰を掛けた。
“…ここに座る度に思い出すだろ?”
そう言った右京の言葉を思い出して一人でクスクスと笑った。
「ふふふ…本当バカ…」
でも少し感謝してる自分が居る。
日本では誰かしら居る生活をしていたから、一人暮らしは寂しい。
ふぅと一息ついた時、携帯の着信音が鳴り響いた。