とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ニコニコと笑うニコールを忍は半眼で見つめた。
『…なぜ毎回担当者と揉めるのかがよくわかりました。』
『はっはっは!随分と鋭いんだね~シノブ!』
こんなに要領が悪いとは…
『ではどうしますか?私そこまで長居出来ないですよ?』
『まず写本の有無を確かめに行く。』
『…なるほど、名案ですね。』
『そうかい?普通だよ~』
『イヤミで言ったんです!!』
忍がそう言っても『そっか~』と笑うニコールを殴りたい衝動に駆られた。
『はぁ…もういいです…
じゃあ、まず正面から取材ですか?』
『おっ!ものわかりがいいね~頼むよ。』
『何言ってんですか?ニコールも一緒に行くんですよ。』
『え~?俺も行くの~?』
丸投げするつもりだったらしいニコールに忍はバンッ!!とテーブルに両手を叩き付けた。
ギョッと目を剥くニコールを睨んで『言い忘れてましたが…』と忍が凄む。
『私の家、古武道やってまして…
私の彼、そこの師範代なんですよ…
で彼から一通りの護身術と言う名の柔術を叩き込まれてんです…』
だんだん蒼白になるニコールにニッと笑うと『稽古相手になってみますか?』と続けた。
ニコールはそれに全力で首を横にブンブンと振るのだった。