とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
魔法陣から現れた黒髪の青年は右京に跪いた。
「お呼びでしょうか。」
「悪いな…潤。」
「…どんなトリックだ…」
「叔父さん、コイツは俺と契約した悪魔だよ。
潤、忍の両親だよ。」
「忍さまの!?」
潤は目を輝かせると「お会い出来て光栄です!」と言った。
「あなたが…悪魔なの?」
「はい、ワタクシはフォカロルと申します。
ウリエルさまの…右京さまのお手伝いをさせて頂いてます。」
「日本名は水島潤。本来俺が契約した悪魔なんだけど、契約証の片方を忍が持ってるんだ。」
「ワタクシは右京さまの命により忍さまの護衛をしております。」
「あなたが忍の護衛?」
「俺がそばに居れない時に何かあったら困るから…」
可愛らしく微笑む悪魔を叔父はジロジロと睨むように見ると、右京に向き直って「コレで大丈夫なのか?」と指差した。
「ご心配には及びません。
コレでも悪魔の端くれですので。」
まだ納得いかなそうな叔父をなだめ、叔母は「分かったわ」と言った。
「その入れ墨の事はいいとして、あなたはどうなの?」
「俺は…」
目を閉じて一拍置くと微かに部屋の空気が流れ始めた。