とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
P2で忍からの連絡を待っていた右京が欠伸をした時、クリスの店先にある防犯カメラにニックが映った。
右京は駆け上がって来るニックの姿に首を傾げた。
勢い良く開いた入口のニックは『聞いてねー!!』と叫んだ。
『どうした?取材は?』
『クロウ!!…シノブ、怖い!!』
『はぁ?…喧嘩売ってんのか?』
『聞いてねーよ!!柔術ってナニ!?』
『…古武道の一つ。素手で…』
『じゃなくて!!』
ニックは涙目で右京にすがりついた。
『俺、シノブに脅されたぁ~!!』
その言葉に右京はぶぅー!!と吹き出した。
腹を抱えて笑う右京にニックは『笑い事じゃない!!』と半泣きになった。
『俺が教えたんだよ、護身術に。』
『お前、彼女にナニ教えてんだよ!』
『だって遠距離だし、心配だったから。』
『やられる相手を心配しろよ!っつーか俺を心配してぇ~~!!』
ついに泣き出したニックに肩を震わせて右京は笑った。
『ククク…確かに忍は出来のいい弟子だよ。予想以上に強くなってて去年ビックリしたし。』
そう言ってから『で?』と右京はニックを覗き込んだ。