とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『解るように何があったか説明して。』
『まず最初に朝アパート行って、“ヴォイニッチ手稿”の話をしたら彼女凄い目を輝かせてさ…』
『…なのに何で脅されたんだ?』
『噂の真相を確かめに行ってくれって言ったら…突然…』
『当たり前だろ!!つーか俺の彼女に何させてんだよ!!』
『させてない!!させられなかった…!!』
クゥ~と腕で目を覆って半泣きのニックを右京は半眼で睨んだ。
まぁ、忍の方が上手だったって事だ。
足を組んでソファに寄りかかると右京の携帯が鳴る。
『あ。忍だ…。ニックちょっと黙ってろよ?』
そう言ってから「しのぶぅ~!!」と電話に出た右京にニックは眉を寄せた。
「ナニそのデレ具合…」
そんな小声のニックの指摘を右京は聞き逃さなかった。
長い足でニックの足をすくい上げて回転椅子ごとひっくり返す。
物凄い物音に右京は「大丈夫!椅子ひっくり返しただけ~」と続けた。
…全然大丈夫じゃねー!
ニックは『俺もひっくり返ってるんだけど!?』と口パクで訴えるが右京はシレッとして忍と会話をしている。
「7時には行くよ」と言って電話を切るとニックに向き直った。