とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
だが同時に見てみたい気もするのだ。
好奇心とでも言うのだろうか。
“苦手なホラーを手のひらで目を覆いながら指の隙間から観ている…”あの心理である。
その場に10人居たら10人に『じゃー観るな!!』と言われるに違いない。
でも観たいのだ。
何故ならば、それだけソレに興味があるから。
好きな訳ではない。むしろ苦手の部類なのに…
人間とは不思議な生き物だとニックは思った。
『…聞いてますか?ニコール…』
『え?き…聞いてるよ!』
思わず裏返った語尾に忍は『聞いてませんね』と溜め息を吐いた。
『聖堂には行かれた事あるんですか?』
『ああ、下見に行ったよ』
右京が下見したものをニックはさも自分が下見に行った様に語った。
それに対して忍は…
『ニコール。あなたが下見した訳ではないですよね?』
と当たり前の様に答えたのだった。
何故だ!?
何故解るのだ!!
ニックの頭の中は聖堂に着くまでずっとそんな事がグルグル回っていたのだった。