とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
組んだ足の上で頬杖を着いて話を聞いていた右京は溜め息を零した。
『…話長すぎ…。で?あったのか?その題名の無い本は…』
『…本は見つからなかった。
でもマリア像の下には空洞があるのが分かった。』
『ほぉ…』
『クロウ…頼むよ…』
ニックはすがりつくような目で右京を見た。
『頼むって…何すりゃいいわけ?』
『別に盗んで来てくれなんて言ってない。
画像に納めてきて欲しいんだ。』
『…セキュリティーも完璧に把握してないのにリスクが高すぎる。
ちょっと考えさせてくれ。』
右京は時計に目を落として立ち上がった。
『とりあえずタイムリミット!
また後で連絡するよ。』
ニックが後ろから何かを言って居たが、右京は耳を塞いで出て行った。
アパートに着くと出迎えてくれた忍にキスを落として『お待たせ~』と微笑んだ。
『今夕飯作ってたんだよ~』
『うまそー!…でもこんなに食えるの?』
『実はさっき電話が掛かって来て…』
まさか…
『ニコールが右京に会いたいって言うから、夕飯誘ったのよ。』
やっぱり…
会いたいも何もさっきまで一緒だったじゃねーか!!
…とも言えず、『二人きりじゃないのか』とだけ返事をした。