とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ダイニングに向かう忍の後を右京とニックがこそこそと会話をしながら追う。
『いとこ同士!?』
『うるせーな…だからなんだよ!』
『どーりで…』
右京はブツブツ言うニックを無視して忍の隣で時々ちょっかいを出しながらワインを開ける。
『…仲いいんだね…』
『…そりゃあ、まあ…』
グラスにワインを注ぎ忍の作った夕飯を食べながら、当たり障りない会話を選んでいく。
『それにしても、今日は残念でしたね~…』
『でも大丈夫。知り合いにとても頼りになる人物が居る。
なんとかなると思う。』
『…へぇ…随分人脈がおありの様で…』
『シノブも見たいだろうし、なんとしてでも記事にしないとね!
君もそう思うだろ?クロ…ウキョウ君』
右京は溜め息をつきながら力無く『そうっすね…』と答えた。
食事が終わってからもリビングで資料を整理すると言うニック。
…まだ帰る気はないらしい。
『忍、アイツ邪魔なんだけど…』
『そーゆー事言わない!
昨日本棚の本借りたいって言ってたじゃない。
言ってみたら?』
忍は小さく笑って後片付けをしながら右京を嗜めた。
右京は渋々頷くとリビングに居るニックに話し掛けた。