とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
右京が辞書を片手にP2を訪れた時、ニックはロイと口論になっていた。
『おい!二人とも落ち着け!!』
慌てて間に入った右京越しに睨み合う二人。
『なにがあった!』
『コイツが勝手な事言ってるから腹が立ったんだよ!』
『別に大した事じゃないだろ!?』
普段は仲がいいだけにここまで揉める事は珍しい。
事情を聞いてみると、ニックが自分の仕事の為にP2の機材を持ち出そうとしたんだとか…
『そりゃマズいだろ、ニック。』
『小型カメラのひとつくらいいいじゃないか!』
『もし万が一どこかに落としてみろ!
そっから足が付くんだ!
P2と関係ない事に使うな!』
ロイの正論にニックは小さく舌打ちをした。
『ニック、小型カメラで全ページを撮るつもりか?
それは無理だろ…何ページあると思ってんだ?』
右京の指摘にさすがのニックも返す言葉がない。
『他のプランで行かないか?
俺に考えがある。』
右京がそう言うとニックは『どんな?』と身を乗り出した。
『堂々と借りればいいのさ。』
『無理だろ…』
『そうとも限らない。
明日もう一度書物庫を探してみろ。わかったな?』
そう言い残すと右京は余裕の笑みを浮かべて去って行った。
その場に残ったニックとロイは顔を見合わせて首を捻るのだった。