とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~





何となく物音がした気がして忍は目を覚ました。


「ゴメン…起こした?」


「右京…?いつ戻ったの?」


「さっきだよ。」


「…そう…」



短くそう言うと忍は再び目を閉じた。


無防備な寝顔に右京の頬が緩む。



手にしていた本を閉じて眠る忍に顔を近づけてみた。



「…寂しかった?」


「…ん…」


「ゴメンね…ちゃんと側に居るから…」



そう言うと忍は少し微笑んで右京にすり寄ると、また深い眠りに落ちたみたいだった。



眠る忍の頬を撫で隠し事をしている事に後ろめたさを感じて申し訳ない気持ちになる。



「ほんと、ゴメンな…」



だが、勘の鋭い忍の事だ。

遅かれ早かれきっと気付くだろう。



ならば先に言うべきか…



また答えを出せないまま忍を自分の腕の中に閉じ込めた。








─その夜、右京は夢を見た。




泣き叫ぶ忍…



泣かないで…



どうか…泣かないで…



泣かせたいんじゃない。



忍には笑っていて欲しいんだ…




だから俺は─










─俺は







─どうしたんだ?





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