とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ヴォイニッチ手稿なるものは未だ解読不能で、一説によると古文書だと言われている。
『なせヴォイニッチ手稿が解読不能なのかが重要なのです。』
『ある人は単なる落書きとも言ってますよね?』
『230ページもある落書きは不自然過ぎる。』
二人の会話に頷くと急に司祭の表情が真剣さを増した。
『これからお話する事はここだけにしてください。
記事にも絶対に当聖堂の名前を出さないように。』
ニックと忍も頷くと真剣に司祭の話に耳を傾ける。
『ここにある“題名のない本”は本来存在しないものとして代々保管されています。
それはヴォイニッチ手稿を解読させない為であると聞いています。』
『解読させない為?』
『これは私の憶測なのですが、この“題名のない本”はヴォイニッチ手稿の解読の鍵になっているのではないかと…』
『ちょ…ちょっと待って下さい!もしそうだとして、何故そんな…』
『内容がそれだけ後世に残したくないものなのでしょう。』
後世に残したくない内容…?
でもこの“題名のない本”が鍵で、それが残ってるとしたらそれは─
忍と同様に疑問に思ったニックは司祭に尋ねた。
『その内容がどんなものなのか、牧師さまはご存知ですか?』
司祭は『いいえ』と首を横に振った。