とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
バスを降りると叔父に電話をかけた。
迎えに来てくれるらしくそこで待つように言われ、右京はロータリーから少し離れた噴水の縁に腰を下ろし行き交う人々を観察していた。
黒髪…金髪…茶髪…。
白人…黒人…黄色…。
いろんな人種がいる為、ここでは右京は全く目立たないかもしれない。
たまたまこちらを見ていた女性と目があった。
女が右京に微笑んだので少し口角を上げて応えた。
ふと視界の隅に強面の男達を捉えた。
男達は先ほど目があった女に近付くのが見えた。
ナンパか…
女は男に何か悪態をついたらしくちょっと口論になっていた。
気になったが割って入るのも図々しい。
右京は組んだ足の上で肘を付いてその様子を眺めながら、小さな旋風を作った。
少し勢いをつけて男の膝裏にそれをぶつけてみた。
ガクッとよろけて仲間の懐に倒れた。
「ぷっ…」
その様子が間抜けで独り吹き出した。
キョロキョロと辺りを見回す男にもう一度旋風をぶつけてみた。
またガクッとよろけたが、今度は仲間が避けた為膝を地面について転んでいた。
「ククク…」
その隙に女が逃げる様に去って行くのを見て、右京は満足してほくそ笑んだ。
マイクの悪い癖がうつったかな…
クラクションが聞こえ、叔父のセダンを見つけて荷物を手に立ち上がり近付いた。