とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
5…
4…
3…
2…
1…
『Turning off …』
右京の呟きと同時に訪れた暗闇。
時間通りだな…
よしよしと歩き出そうとした時、聖堂と自分との丁度中間あたりに人影が見えた。
…あんな所に…人…居たっけか?
最初その人物がクリスだと気付かなかった。
右京はその人物に見つからない様に聖堂の裏手に回ると、カメラの死角から跳躍して壁を登っていく。
明かり取りの小窓までたどり着くと跨ぐように座ると窓の縁を手で探る。
思った通り嵌め込んだ作りになっていて、ちょっと力を入れると簡単に開いた。
「意外と簡単に済みそうだな…」
開いた窓に体を滑り込ませ侵入すると聖堂内を見渡す。
カメラがあった位置に目を向けて溜め息をついた。
警戒していた監視カメラは起動していない。
「んだよ…ダミーかよ…」
フワリと飛び降りるとマリア像に向かった。
土台と床部分が下見の時に比べて4~5cm程動いた跡があった。
それを見て右京は思わず吹き出した。
「忍め…かわいい事しちゃって…。」
相当、思いっきり投げ飛ばしたりしない限りこの重量のマリア像が動く事は無いだろ。