とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
アパートの鍵を取り出して部屋に入って忍を呼んでみたが返事は無かった。
バスルームから鼻歌が聞こえて来て右京はクスクス笑いながら扉を開けた。
「ご機嫌だね。」
「♪~…あ、右京!」
バスタブで泡に埋もれた忍は右京を見て微笑んだ。
「なんだ、泡まみれじゃないか…
キスさせてくれよ~」
右京が口を尖らせると忍は楽しそうに笑いながら手を伸ばした。
シャツの襟を掴んで引き寄せてキスをすると「入る?」と首を傾げた。
右京が頷くと忍は嬉しそうに笑いながら泡をすくった。
「そんなにいいことがあったの?」
「聞きたい!?あのね…」
「うん、ちょっと待って。」
聞きたいと言うより話したいらしい忍は「早く早く」と右京を急かした。
バスタブに右京が向かい合うように入ったのを確認すると「今日ね」と話し始めた。
「ついに見つけたのよ、例の本を!!
ニコールの知り合いが細工したみたいなんだけどね…
牧師さんも不思議そうな顔してたわ!」
興奮気味に話す忍が可愛い。
「やったじゃん。で?牧師は何だって?」
忍は細い足を右京の肩に乗せながら「知りたい~?」とイタズラに焦らした。
「別にいいや。」
「ええ!?知りたいって言いなさいよ!」
「ふふ…じゃあ知りたい。」
右京の言葉に満足したように忍はまた今日の出来事を話し出した。