とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ビシッと蹴りが右京の頬を掠めた。
『試してみなさいよ。』
『誘うならベットに誘えよ…』
そう言いながら右京も構えると忍はニッと笑って拳を繰り出した。
一つ一つ受け止め右京は『悪くない』と呟いた。
『力はないけど動きがしなやかで攻撃が読みづらい。
確かに油断したら負けるかも。』
そう言うと忍は嬉しそうに笑った。
『君達は変なんカップルだね…朝からファイトとか聞いた事ないよ…』
傍観していたニックは呆れた様に首をすくめた。
『そうだ、ニック。今日忍を観光に連れて行きたいんだけどいいか?』
『あ~構わないよ。折角イギリスに来たんだ。楽しんで…』
『ちょっと待って!!』
忍が二人の会話にそう言ってストップをかけた。
『…ニックって誰?』
忍の指摘に固まる二人。
『…ニコールって言ったんだよな?』
『忍の聞き間違えじゃないか?』
『いいえ、確かに言ったわ。
…あなた達、元から知り合い?
…わかったわ!右京が本を細工したのね!?』
鋭い忍に観念したように二人は溜め息をついた。
『忍…ニコールの本名はニコラスって言って裏の顔があるんだ…』
『…すまないね…言えない理由があったんだよ…』