とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「見てて…」
そのまま羽根を巻き上げる。
「…これでも悪魔と違うって言える…?」
右京の真実の姿に忍は言葉を失った。
ゴツゴツとした骨張った翼と─
真っ赤な右目を見つめた忍が震える手を伸ばした。
黙って右京の頬を忍は両手で挟むと潤んだ瞳で微笑んだ。
「愛してるよ…どんな姿だって右京は右京だもん。」
忍は右京に口づけてもう一度「愛してる」と囁いた。
右京その言葉に目を閉じた。
「俺も愛してる…お前だけをずっと…」
忍が意識を手放す瞬間─
右京が「ありがとう」と言ったような気がした。
気を失い眠る忍の傍らで右京はその頬を撫でた。
右京の解放された力を目の当たりにして、人間が正気を保てるはずもない。
時々うなされる忍を見ていると真実を告げるべきじゃなかったと後悔した。
愛おしい寝顔に優しく口づけ、そっと部屋を出ると洗面台で顔を洗った。
鏡の中の自分を睨む。
「…お前なんか嫌いだ…」
そんな独り言を呟いた時、忍の叫び声が聞こえた。
「忍!?」
「右京…!!右京ー!!」
慌てて駆け寄ると忍は右京の首に抱きついた。