とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
“悪魔”は自分の存在意義を問う。
─自分は何の為に存在しているのか…
そして悟った。
“天使”は愛を
そして、“悪魔”は力を
だとすれば自分のするべき事は一つしかない。
「右京?…大丈夫?」
隣を歩く忍は右京が何もしゃべらないのを不振に思ったらしい。
「大丈夫だよ。忍はもう平気?」
「うん…ごめんね?」
「謝る必要ない。…全部俺が悪い。」
それに対して忍は何か言いたそうにしていたが、右京はそれを制して微笑んだ。
「ニックに電話入れないと。心配してる…」
頷く忍の頭を撫でて駅のベンチに座った。
『ニック…さっきは悪かったな。もう大丈夫だから…』
携帯でそう話す右京の横顔を忍が見つめた。
右京の袖を引っ張って「代わって」と言われ、携帯を手渡した。
『ニコール…事情聞きました。あんな態度とってすみませんでした。』
電話の向こうでニックが謝っているのがわかった。
『仕事のパートナーとして、これからもよろしくお願いします。』
それは『それ以外は関与しない』と言う忍の意思を表した言葉だった。
電話を切って忍はいつもの笑顔を右京に見せた。