とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
─コツン…
何の音だろうか?
─コツン…
また聞こえた。
そして甲高い鳴き声が聞こえて右京は目を覚ました。
列車は隣の駅に停車していて、外は既に暗闇が広がっている。
その暗闇に一瞬何かが赤く光った。
じっと光った箇所を睨む。
真っ赤に光ったそれはギロリと右京を見た。
「…!?」
ピュィィィィーー… !!
その甲高い鳴き声に右京はハッと目を覚ました。
「…ゆめ…?」
窓の外は停車していたと思っていた駅に丁度入ったところだった。
「…どうしたの?」
右京が窓の外をじっと凝視しているのに気付いて忍が声を掛けた。
「…いや…寝ぼけたのかも…」
そういうと忍はクスッと笑った。
駅に着いた頃には忍独りでは歩けない程真っ暗だった。
「さむぅ!!」
「ホント!雪降りそうね~…」
「早く帰って暖まろ!」
珍しく寒がる右京を忍が「大丈夫?」と心配そうに見上げた。
「ダメ…温めて…」
「ふふ…後でね。」
「やった!どうやって温めて貰おうかな~…」
ふざけてそう言う右京を忍が肘で突く。
ピュィィィィーー… !!
じゃれあって歩く夜道の途中でまたあの甲高い鳴き声が聞こえた。