とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『話せ。何があった。』
─ミカエル様がいらっしゃいました。
ウリエル様の負の念を感じたと…
そして“恐らくルシファーも気付いだろう”と…
『なるほど。しかしミカエルが来るとは珍しい…』
ラファエルがミカエルの失脚を狙ったという過去があり、使い魔として召喚されたバジリスクが罪に問われた。
その一件以来ミカエルはバジリスクを目の敵にしている。
バジリスクはそれを当然だと思っているらしく異を唱える事はない。
まったく彼女らしいが損な性格だ。
ウリエルが彼女を引き取ったのもそれを知ったからだった。
それまで道具のように使われていた自分を対等に扱ってくれたのはウリエルが最初で最後だとバジリスクは言う。
だからバジリスクはウリエルに絶対服従の誓いを立てているのだ。
別にウリエルはそんな事はどうでも良かったのだが、懐いてくるバジリスクは素直に可愛い。
今も昔もウリエルは取り巻きには恵まれていると思った。
だがウリエルには敵が多かった。
ミカエルにそれを指摘された事もある。
『君は自由過ぎるのだ。思うがままに飛び回っているといつか堕ちる事になるよ。』
その言葉通りウリエルは堕天使となった。