とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
そして枕を勢い良く引き抜くとボフッと右京の頭が落っこちた。
「ぁいてっ!」
「バカな事言ってないでさっさと起きる!」
そう言って右京の顔に枕をポイと投げ、忍は立ち上がった。
「…優しくない!」
「だから何!?」
ニヤリッと笑った右京は忍の腕を掴んで布団に引き倒した。
忍に馬乗りになって真上から忍を見下ろすと「オシオキ~」と嬉しそうに笑う。
そんな右京を見て、自分がはめられた事に気付いた。
「え!?もしかして、わざと!?」
「あのね~しのぶちゃん。何年付き合ってると思ってんの?お前がどー言えばどんな反応するかくらいお見通しなんだよ!」
ジタバタと暴れる忍のシャツを捲り上げてその中に右京は頭を突っ込んだ。
「きゃっ!ちょっ!?まッ…待って待って!…あははは!くすぐったい!!」
「暴れんな!オシオキだって言ってんのにー!」
『…なにやってんだ?お前ら…』
突然聞こえたニックの声に忍が右京を引き剥がしながら『おはようございます、ニコール』と挨拶をした。
右京は忍をギュッと抱き締めながらニックを睨んだ。
『邪魔すんなよ、お前何しに来た!』
『仕・事・だ・よ!!お前こそ邪魔だ!』
ニックの正論に右京はムッと口を尖らせる。
『右京が早く起きないからいけないのよ?
ニコール、良かったら朝食一緒にどうですか?』
『ありがとう。今日はまだ食べてないんだ。』
『食ってから来いよ…』
ブツブツと文句を言う右京を忍は目で黙らせるとキッチンに入って行った。