とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
それを見送ってからニックは右京と顔を見合わせて笑った。
『ちょっと心配してたんだ。ギクシャクしたらどうしようって…。意外と普通で安心した。』
『そう見えるだけだよ。昔から忍は溜め込むから…』
ベットの上で胡座をかいてそう言う右京の頭をグシャグシャと撫でた。
『ホントに好きなんだな…シノブが。』
『当たり前だろ?忍の為ならなんだって出来る…。』
『だろうな。けど無理はすんなよ。』
右京はニックの言葉に首を傾げた。
『お前みたいなタイプは死に急ぎそうだからなぁ~。まぁクロウに限ってないとは思うけどさ!』
右京はそれに何も答えず立ち上がってTシャツに手を伸ばした。
『お前がいないとシノブが悲しむ。それは忘れるなよ。』
ニックはバスルームに消える背中に向かってそう言った。
ドアの向こうから『余計なお世話だ!』と聞こえてやれやれとため息をつくのだった。