とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
三人は朝食後忍の入れたコーヒーを飲みながら“題名のない本”について話しをしていた。
『解読出来そうか?』
『文字は古代文字が多くてな…苦戦中だよ。』
『そういえばあの挿絵!ほら、右京がバジリスクって言ってたじゃない?』
『バジリスク?』
『ああ、忍に画像を見せてもらったんだけど挿絵にバジリスクがあったんだ。』
えっ?とニックは首を捻った。
『バジリスクって伝説上の蛇に似たUMAみたいなもんだろ?』
それを聞いた右京は『それは違う』と首を横に振ると語り始めた。
『人間界では時々間違って後世に伝わるんだが、バジリスクとコカトリスも混同されてるんだ。』
同じ猛毒を持つ妖怪ではあるが本来バジリスクは鳥、コカトリスが蛇に似た形態をしている。
バジリスクの人間嫌いは本能的なものらしく、人間界でその姿をほとんど見る事はないだろう。
コカトリスはあまり頭が良くない。その点使い魔としては扱い易く、度々人間界でも出くわす事があると右京は言う。
『多分そのせいでバジリスクが“蛇”に似た妖怪だと伝わったんだと思う。』
『なるほど…。あの挿絵がバジリスクだっていうのは間違えないのか?』
『間違えない。…まぁあの姿は最近見てないけど、うちのも最初はデカイ鳥みたいなもんだった。』
『…“うちの”?』
『ウリエルの従者らしいわよ?』
それを聞いたニックは『連れて来い!』と興奮気味に騒いでいた。