とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
「更にマズイ事態なのは忍が近くに居るって事だ。」
「忍さんに危険が及ぶ可能性がある。」
「それもあるけど…忍が精神的に不安定なんだ…」
「なるほど、判った。右京は忍さんについてて。
俺が動くから天界の事は任せて。」
虎太郎は深く追求せずにそう答えた。
「悪いな…助かる。」
「なーに言ってんだよ!何の為に俺が居ると思ってんだ?」
明るくそう言う虎太郎に右京も「そうだったな」と笑った。
「ああ、そういえば…」
と右京は“題名のない本”の事を思い出して虎太郎に伝えた。
話を聞き終えると虎太郎は少し考え込んだ。
「今回の事と関係があるのかわからないけど…ないとは言い切れないね…」
「ああ…最悪な事態だけは避けたい。」
「それはわかるけど俺が戻るまで極力独りで動かないでくれよ?
さすがのウリエル様でも危険過ぎる…」
右京は心配そうにそう言う虎太郎に「わかってるよ」と微笑んだ。
「くぅ~~!その顔、たまんない!」
「きめーよ!さっさと行け!」
右京を抱き締めて頬擦りする虎太郎に拳を振り下ろす。
虎太郎はニコニコしながら「はいはい」と殴られた頭を擦った。