とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
右京を寮の入口まで見送って、虎太郎は「さてと…」と独り言を呟いてきびかえした。
とりあえずリサに一言言ってから行かないとまた怒るだろうな…
自分の部屋に戻るとリーの課題の邪魔をしているリサを見てちょっと笑った。
『じゃあ、そのチュウゴクゴって言うのは何種類もあるワケね?』
『うん、僕の故郷は広東語が主流だけどね…』
『なんで統一しないの?』
『なんでって…』
『リサ。リーが困ってるだろ?』
溜め息混じりにリサを宥める。
『おかしいのよ、リーの国は色々な言葉があるって言うのよ?』
『中国は大陸が広いからね…主用言語は北京語だった気するけど…』
リサは『変なの~』とまだ納得いかなそうな顔をしていた。
『ほら、リサが邪魔したらリーの課題が終わらないだろ?』
『邪魔してないわよ!』
そうよね?と振られ、リー返事に困った様にはにかんだ。
虎太郎は目でリーに謝ってリサを連れて部屋を出た。
『クロウとの話は終わったの?』
『うん。ちょっと問題が起きてね…』
『問題…?』
髪を揺らして首を傾げた彼女に虎太郎は頷きながら『今日も綺麗だね』と頬を撫でた。