とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
数日たったある日の午後、叔母とお茶を飲みながら談笑していると右京の携帯が鳴った。
「叔父さんからだ…嫌な予感がする…」
そう言うと恐る恐る通話ボタンを押した。
「右京、お前暇だよな?」
「今忙しい。叔母さんとティータイムだよ。」
「そりゃ良かった。今からちょっと手伝え。
迎えに行くから用意しとけよ?」
そう言うと一方的に電話は切れた。
怪訝な顔をして切れた電話を右京は睨んだ。
「手伝えってなんだよ…」
「荷物の積み込みかしら…スタッフが怪我して人が足りないって言ってたのよ。」
「なるほど…仕方ないから手伝ってやるか。」
「しっかり孝行してらっしゃい。」
そう言うと叔母は微笑んだ。
しばらくすると足早に帰って来た叔父は、右京を車に乗せるとエンジンをかけた。
「力仕事、得意だろ?」
「人が足りないんだろ?さっき叔母さんに聞いた。」
「今日船に乗せる荷物の積み込みなんだ。」
「オーケー」
そうこう話している間に車は郊外にある倉庫に到着した。
促されるまま中に入ると数人の作業員が一斉にこっちを見た。
『うちのクソガキを連れて来た。
力仕事ならコイツを使ってくれ。』
『ボスのセガレか!似てねーな…』
『似てなくて良かった。
俺は右京だ。よろしくな。』
『ジムだ。んじゃウキョー早速だが、あの家具を頼む。』
『オーケー』
右京が言われたチェストに手をかけると慌ててジムは口を開いた。
『無理すんな!2人で運んでもいいぜ?』
『多分大丈夫だよ。』
右京は少し力んでチェストを持ち上げると肩に担いで運びだした。