とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
これはマズイって!
このままだとまたリサのペースだ。
虎太郎はリサの激しいキスに呼吸を乱されながら風を巻き上げる。
『…なっ…何!?』
虎太郎の真っ白な翼を見てリサは驚いて目を見開いた。
真っ赤な顔を片手で覆って『だから…』と虎太郎は項垂れた。
『…まさか今から行くの!?』
『そうだよ!いい加減早とちりして俺を襲うのやめてくれる?』
虎太郎…いや、ハニエルの台詞に文句を言うリサを無視して両手を広げて呪文を唱える。
魔法陣からキラキラとまばゆい光が溢れ、リサがオロオロと慌て出した。
そんな彼女をハニエルはフワリと包み込む様に抱き締めると『大人しくしてて』と囁いた。
身を引っ張られるような感覚にリサは目を閉じてハニエルにしがみつく。
一瞬手が緩んで身体が浮きかけた。
そんな彼女をハニエルは翼で包むとキツく抱き締めた。
リサはその力強い腕の中でハニエルを見上げる。
大事そうに自分を抱えて飛び続ける彼の顔は凛々しく、リサは少し鼓動が早くなるのを感じた。
『怖い?』
『だ…大丈夫ッ…』
『ゴメンね、もう少し我慢して…』
我慢だなんてしてないのに…
身を引っ張られる痛みですら貴方の腕の中なら心地よい…
そんな想いを込めてハニエルの胸に顔を埋めた。