とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



『リサ。何をそんなに怯えているんだい?』


『べ…別に怯えてなんかないわよ!』


『いいんです、慣れてます。私は表情が乏しい様ですのでよく怖がられますから…』



そう言うバジリスクにハニエルは『そんな事ない』と首を振った。



『ウリエル様と話している時は嬉しそうにしてるじゃないか。表情が乏しいんじゃなくて、感情を表現するのが下手なんだよ。』



この能面のような女がクロウの前で本当に嬉しそうにしているのかすら嘘くさい…



『う…ウリエル様の前でだけは自然体で居れます。』


『…』



急に赤面して恥ずかしそうにするバジリスクにリサはポカーンと口を開けた。


『ね?彼女はウリエル様にだけ心を開いてるんだ。』


『…あなた…クロウの愛人か何かなの?』


『とッ…とんでもございません!
私はあの方に救われた身です。なのでこの身はウリエル様の物…それ以上の何物でもありません!!』



慌てて否定するバジリスクを見てリサは『ふーん』と適当な相槌を打った。



バジリスクの第一印象はあんなに恐ろしかったのに、話してみると意外と普通でリサはホッとした。


『あなた、面白いわね…』


その言葉に理解不能の為か、再びバジリスクは無表情になった。



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