とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




リサの表情が和らいだのを見てハニエルは胸を撫で下ろすと話を元に戻した。



『ミカエル様の件は置いといて…
バージに聞きたい事があったんだ。』


『私に判る事であれば…』


『人間界にある一冊の本なんだけどね?』



ハニエルは右京に聞いた話をバジリスクに話した。



バジリスクは無表情のまま口元に手を当ててしばらく考え込む。



『人間界で私達バジリスクが描かれた書物があるのは知りませんでした。


ですが昔一族にある契約をしたと言う者が居た気が…』


『…契約?』



予想していなかった答えが返って来てハニエルは片眉を上げた。



『その書物がもし“古文書”の類いなのであれば可能性はあります。』


『なるほど。…で、その契約って?』


『“皇帝に翼を捧げる”と言う契約です。』



バジリスクの言葉に一瞬思考が停止する。



『もう大昔の逸話ですので真偽はわかりませんが…』



『…』


『…ヒューガ…それって…マズイんじゃない?』


その話が本当だとしたらマズイどころではない…!


『バージ。その話、詳しく教えてくれ。』



バジリスクは能面の様に表情を変えずに頷くと話し出した。



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