とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




バジリスクの一族の一人がとある堕天使に召喚されたのがその話の始まりだったという。



使い魔として成果を挙げられなかったバジリスクに激怒した堕天使は激しく罵ったそうだ。


バジリスクという種族は忠誠心の塊のような生き物で、そのバジリスクも自分の失態を嘆いた。



それを見た堕天使はバジリスクにこう告げた。



“己の失態を悔いるのであれば、その身を捧げるがいい!”



と…



バジリスクは誓いを立てた。



“その時はこの身をお役に立てましょう”





『その堕天使の名前が…思い出せません…ごめんなさい。』



堕天使から悪魔へと変貌したであろう事は想像出来る。


そして間違いなくそれはルシファー側の…



『ありがとう、十分だよ。

バージ。もう一つ頼まれてくれるか?
今の話をウリエル様に伝えて欲しい。

私はガブリエル様に会いに行く。』


『承知しました。』



ハニエルは立ち上がると目線をリサに合わせた。



『リサ。悪いがここに居てくれるかい?』


『置いてくつもり!?』


『熾天使にはそう会えないんだよ…』



ごめんねと申し訳なさそうに言うハニエルにリサは渋々頷いた。



そしてハニエルの白く柔らかい羽根を掴んで『早く帰って来なさいよ』と寂しそうに吐き捨てた。



ハニエルは黙ってリサの手を取るとその甲に口付け、名残惜しそうにそっと放して飛び立つのだった。



< 435 / 474 >

この作品をシェア

pagetop