とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
部屋を出て行く叔母を見送って右京は忍に「ただいま」と言って椅子に座った。
「お母さん、右京が居てくれて楽しそうだった。」
「日本に帰っても忍も居るし、俺も安心だよ。」
「右京も時々は日本に帰っておいでよ。」
「そうだな…今気になる事件があるから、一段落したら考えるよ。」
その言葉に忍は神妙な声色で「そっか」と言った。
「危険な目に遭ってない?」
「今のところは大丈夫。心配いらないよ。」
「ん。実は心配してない。」
そんな話で笑い合うと一瞬の沈黙が流れた。
「忍…俺さ、、忍と離れてみてかなりツラい。
日本に居た時は忍の心配ばかりしてたくせに、実は俺の方がヤバいかも…って最近気付いた。」
忍はそんな右京に「最近!?」と突っ込んだ。
「私、ツラいのは自分だけかと思ってた。右京も同じなんだ…ちょっとホッとした。」
「触れたいよ…忍に…」
そう言うと忍は小さく「うん」と呟くように答えた。
今彼女はどんな表情をしているかを想像する。
きっと切なそうに優しく微笑んでるだろう。
「愛してるよ…離れてても変わらずに…ずっと」
「ん…ありがとう。私もだよ、右京…」
目を閉じるてそこに居る忍に手を伸ばす。
抱き締められたらといつも思う。
そんな切なさを抱いたままSkypeのチャット画面を閉じた。