とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ハニエルがガブリエルの宮殿に辿り着くと、案の定門番に止められた。
謁見の許可が下りるまでどのくらいの時間がかかるのだろう…
門番はハニエルに申し訳なさそうに声をかけた。
『ガブリエル様に今急な依頼が来たようで、なかなか取り次げないのです…』
『急だったからね…気にしないで。のんびり待たせて貰うよ。』
そう言って宮殿の壁に寄りかかった。
“のんびり”なんてしてる時間ないんだけど…
しばらくして門番が『どうぞ』と言って白く大きな門を開いた。
ハニエルは礼を言ってそこをくぐった。
広い謁見の間に足を踏み入れると、奥の玉座に座るガブリエルがハニエルを見て腰を上げた。
『ハニエル!』
『お久しぶりです、ガブリエル様。』
『よい所に来てくれました!知恵を貸しておくれ…!』
いつも冷静なガブリエルが珍しく慌てているように思え、ハニエルは首を傾げた。
そしてガブリエルの言葉にハニエルは耳を疑った。
『…今なんと仰いました?』
『ですから!ルシファーがウリエルに接触したのです!』
ハニエルは軽い目眩がして次の言葉に詰まった。
ガブリエルはただオロオロとし、今にも泣き出しそうな状態だった。