とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~




ハニエルがガブリエルの宮殿に辿り着くと、案の定門番に止められた。


謁見の許可が下りるまでどのくらいの時間がかかるのだろう…



門番はハニエルに申し訳なさそうに声をかけた。



『ガブリエル様に今急な依頼が来たようで、なかなか取り次げないのです…』


『急だったからね…気にしないで。のんびり待たせて貰うよ。』



そう言って宮殿の壁に寄りかかった。



“のんびり”なんてしてる時間ないんだけど…




しばらくして門番が『どうぞ』と言って白く大きな門を開いた。



ハニエルは礼を言ってそこをくぐった。



広い謁見の間に足を踏み入れると、奥の玉座に座るガブリエルがハニエルを見て腰を上げた。



『ハニエル!』


『お久しぶりです、ガブリエル様。』


『よい所に来てくれました!知恵を貸しておくれ…!』



いつも冷静なガブリエルが珍しく慌てているように思え、ハニエルは首を傾げた。



そしてガブリエルの言葉にハニエルは耳を疑った。



『…今なんと仰いました?』


『ですから!ルシファーがウリエルに接触したのです!』



ハニエルは軽い目眩がして次の言葉に詰まった。


ガブリエルはただオロオロとし、今にも泣き出しそうな状態だった。




< 462 / 474 >

この作品をシェア

pagetop