とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
それがどういうことか、幽閉されていたバジリスクは既にそこには居ない事実にミカエルは後で気付いた。
神の怒りを恐れたミカエルは考えた。
“ウリエルが下界に居る”
バジリスクの存在を記した書がルシファーに渡る前にウリエルが奪還出来れば問題ない…と。
『ウリエルの邪気が膨れ上がったのはその頃でした。
ミカエルはルシファーと対峙する事を避けたかったのだと思いますが…
ウリエルなら翼のないルシファーと互角に渡り合えるだろうと言っていました。』
『つまり…ミカエル様はご自分の役目をウリエル様にさせるよう、仕向けた…と?』
ガブリエルはオイオイと泣きながら頷いた。
なんて事を…!
『ルシファーがウリエル様に接触したと言うのは間違えないのですか!?』
『間違えありません。
主が先ほど、ウリエルがおかしいと…!』
『そんな…!嘘だ…ウリエル様が…ああ、嘘だと言って下さい!』
どうする?
どうすればいい!?
ウリエル様はどうなった!?
落ち着け…落ち着け…!
『わかりました。私が下界に下ります。
必ずウリエル様をお救い致します!』
ハニエルはそう言ってガブリエルに背を向けて出て行った。
ガブリエルはただただ項垂れさめざめとウリエルの為に泣いた。
どうか無事で居て欲しいと願いながら…