とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~
エピローグ






人生の中で人はどれだけの出会いと別れを繰り返すのだろう…



それはなんの前触れも無しにやって来て、私に色々な感情を与える。



その大半は望んでいたものであるはずなのに、たった一つ失ったモノによって全てを色がない白と黒へと変える。



忍の心は正に白と黒だけのモノトーンの世界と化した。




そのモノトーンの真ん中に真っ黒な渦があって、そこから時々風が吹き込む。


それも突風とも言える強い風で、顔を上げていられないほどだった。



でも彼女はそれに耐えて目を開ける。



突風と一緒に巻き上がった黒くふわふわとしたそれが堕天使の羽根だと判っているから…



もしかしたらその突風の向こうに彼が居るかもしれない。



いっそ黒い渦に身を投げ入れれば彼に逢えるかもしれない。



そう思って突風に向かうけどいつも押し返される。



─こっちは危険だ。
忍は来ちゃいけない!



そう言われ弾き返され彼の名を叫んで抑えていた感情を吐き出す。



「嫌よ!迎えに来てくれるって言ったじゃない!!なのに…!」



そう言うと彼の優しく低い声が聴こえる。




─愛してるよ。

どんなに離れていても

君を変わらず愛し続けると誓うよ─




「嫌よ!右京…消えないで…!」




そう叫んでみたけど、彼に届いたかは解らない…



ただ解るのは、それが“夢”だという事だけ…





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