とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
起きた時全てが夢だったらと思う。
現実を認めたく無くて部屋中を歩き回って右京を捜す。
そんな様子を見て潤は「忍様…」と心配そうに声をかけた。
忍はただぼんやり立ち尽くし「ごめん」と呟いた。
潤はそんな時忍を優しく抱き締めてくれる。
その暖かさに少しホッと出来た。
でも自分の求めている温もりと違くて、それが余計に寂しさを募らせた。
「右京様はきっとどこかにいらっしゃいます。』
そう言われ、忍は堪えきれずに泣き出した。
「じゃあ何故帰って来ないの!?
あれから一週間近くに経つのに、帰って来ないじゃない!!」
やり場のない思いを潤にぶつける。
潤は忍を抱き締めて背中を撫でてくれた。
「ワタクシがここに居るのが右京様が無事で居る証拠です。
だから…泣かないで…」
“泣かないで”
いつだったか右京にも言われた台詞…
「…逢いたいよ…右京…」
私を抱き締めてよ…
いつもみたいに抱き締めてキスしてよ…!
あなたの声を聴かせてよ!
耳元で「大好きだよ」って囁いて…
忍は潤にしがみついて泣き続けた。
そのうち意識が朦朧としてきていつの間にかまた眠りに落ちた。