とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
忍は夜空を見ながら独り言の様に口を開いた。
『なんか疲れちゃった…』
『大丈夫かい?…』
『…大丈夫に見える?』
『見えない。』
素直にそう言うニックを軽く睨む。
『あいつの事、諦めるの?』
『…待ってても無駄だとは思ってます。』
そう言った時忍が『あ…』と手の平を上の向けた。
白くふわふわとした雪が二人に降り、髪の毛にまとわり付いた。
『…だから迎えに行く事にしました。』
そう言うと忍は立ち上がり、ニックに笑顔を向けてから歩き出した。
歩きながら降り始めた雪を見て忍は思った。
白と黒の世界はやっぱり寂しい。
右京もきっと白と黒のモノトーンの世界に取り残されてるのかもしれない…
ならば私が手を差し伸べよう。
何も見えない真っ暗な渦に目一杯腕をのばして─
もし、辺りが真っ白で迷っているとしたら…
ならばその真っ白な空間で私が声の限り叫ぼう。
その声が枯れるまで貴方の名を─
─右京。
私がきっと救い出してあげる─