とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
ダンはキーボードを操作してモニターに地図を表示させた。
『もう一つの理由はこれだ。
赤いマークがクー・シーの出現場所だ。
…何か気付かないか?
』
『…川沿いに分布してる…』
『その通り。
そもそもセイレーンは妖怪と言うよりも、水の精霊に近い。』
『確かに河川沿いはバーが多かったな…』
『それでヒューガに調べに行ってもらってるんだ。』
そうアランが言った時、ロイが『到着した』とちらっとこっちを振り返ってから音声をスピーカーに切り替えた。
『…おっと…クー・シーのお出ましだ。』
『やれるか?』
『大丈夫だと思う。』
そう言うとしばらく会話が途切れた。
『アラン、俺も行こうか?』
そう右京が言うと待ってましたとばかりに笑みを浮かべた。
『助かるよ。ヒューガが川の東側を北に向かってる。
クロウは西側を北に向かってくれ。
バーがあれば目立たないように調べてくれ。』
そう早口で指示するとシンディの作ったコートを手渡した。
右京はそれを着ながら『ラジャー』と答え、P2を出て夜の闇へと飛び出して行った。
『P2の特攻をなめんなよ』
ダンの呟きにアランは満足気に微笑んでモニターに視線を戻した。