とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


『とりあえず人間に悪さしないよう見張っとけよ?』

…堕天使、何故オ前ハ人間ニ肩入レスル?

『俺は人間が好きなんだよ。』

…解セヌ。

『だろうな。ほら、早く行け!』


クー・シーはチラリと虎太郎に目を向けた。


…オ互イ苦労スルナ…

『俺は好きでやってんの!
リサの話も聞いてやれよ?』


虎太郎の言葉にクー・シーはちょっと笑った様に見えた。






P2のオペレーター、ロイは特攻の二人の会話を聞きながら首を捻った。

アランはしばらく静かに考えていたが、ダンを横目で見た。


『どう思う?』

『…アラン…お前の拾って来た二人はとんでもない奴らかもしれん…』


スピーカーから聞こえたのは虎太郎と右京の声だけなせいで、会話の全貌は見えなかったが気になる言葉が幾つかあった。

“俺は人間が好きなんだよ”


アランは引っかかるその言葉をどう理解するか悩んだ。


『…敵には回したくない奴らなんだけどね…』


ロイもアランに頷いたが、ダンがポツリと『“ウリエル”…』と呟いた。


『ヒューガがさっき“ウリエル”って言ったよな?』

『そうだったか?』

『間違いない。確かに言ってた。』


そう言うとダンは隣の部屋の本棚から一冊の本を取り出した。


『…聖書じゃないか。いきなり目覚めたのか?』


茶化すロイを無視してダンはペラペラと聖書を捲った。


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