とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
とあるページで手を止めるとダンはそれをアランに手渡した。
アランは聖書に視線を落とした。
『…まさか!…』
『…クロウは“敵”じゃない。』
話の読めないロイは首を傾げながらアランの手にしているページを覗き込んだ。
『…“熾天使ウリエル”…』
『クロウは元熾天使…堕天使ウリエルだ。』
確信したようにダンが言った時入口をノックする音に3人は一斉に振り返った。
『…ロイ…ロックを外せ』
『あ?…ああ…』
P2に入って来た二人はメンバーの視線に不審な顔をした。
『…なんだよ…』
アランは聖書を右京に手渡しながらゆっくり口を開いた。
『クロウ…君は天使なのか?』
一瞬驚いたように目を丸くした右京に虎太郎はちょっと笑って肩を叩いた。
『天使じゃないよ。俺は堕天使だ。…よくわかったな…』
『…マジか?翼は!?』
身を乗り出すロイに右京はうざったそうに片眉を上げた。
『あるよ。つか、疲れてんだけど~』
右京は奥の部屋のソファーに寝転ぶと伸びをした。
『ヒューガは知ってたんだろ!?』
『当たり前だろ?俺は彼の護衛だ。』
『護衛?』
『ウリエル様には敵が多すぎる。』
虎太郎はそう言いながら冷蔵庫を開けるとコーラを1本取り出した。