とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~


美味しそうにコーラを飲む虎太郎を3人はじっと見つめた。


『…』

『…』

『…』

『…だぁ~!わかったからそんな顔で見んなよ!』


虎太郎コーラをテーブルに置くと、コートを脱いだ。


静かに虎太郎の周りの空気が動き始めた。


床から巻き上がる風に真っ白な羽根が紛れ…

大きな4枚の翼を持った碧眼の天使がそこに現れた。


『…すげぇ…』

『…ヒューガ…なんだよな?…』

『“力天使ハニエル”っていうのが本来の名前だ。』


アランは天使に近付いてそっと手を伸ばした。


『…こんなに感激した事はないよ…』

『…ああ…なんて美しいんだ…』


その言葉にハニエルは茶髪を掻きながら照れくさそうに笑った。


『ウリエル様の方が何倍も美しいよ…』


そう言ってソファーで寝息を立てている銀髪の男を眺めた。


『…お疲れの様だね…』

『クロウの本当の姿も見たいな…』

『機会があったら見れるだろ。

今はそっとしといてやってくれ。』


そう言いながら翼をしまって右京に近付くと虎太郎は自分のコートをかけてやった。


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