とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『でも大丈夫だよ、クロウ。
俺は口が堅いから安心していいよ。』
『まてまてまてまて!!』
混乱する右京に女はニッコリ微笑むと彼に抱き付いた。
『会いに来たのよ!』
『離れろ、リサ!暑苦しい!』
なかなか離れないリサを蹴り飛ばすように足を使って引き離した。
『なんでここに居るんだよ!?』
『私、気付いたの!人間の男じゃダメだって。
あなたなら問題ないじゃない?』
『問題ないあるって!
虎太郎のとこ行けよ!』
『あの天使か…ん~タイプじゃないのよね~』
そんな右京達を見ていたアランは見かねて間に入った。
『クロウも落ちついて!
この子は誰なんだい?』
『誰って…例のセイレーンだよ…』
『あ~!君が歌姫か…
俺はクロウの友達のアランだ。よろしく。』
アランはリサにニッコリ笑ってから『そういえば』と言って着替えている右京に向き直った。
『クロウ、いいのかい?』
『なにが?』
『さっきマイクが君達が仲良く寝てる所をデジカメで撮ってたよ?』
『…』
それを聞いて右京は上半身裸のまま部屋を飛び出してマイクを探しに行った。
『やれやれ…相変わらず慌ただしいね…』
『…なんであんなに慌ててるのかしら…』
『それよりリサ。早くここを出た方がいい。』
『何故?』
『だってここは“男子寮”だし、色々とヤバいから。』
そう言うとアランは天使のように優しく微笑むのだった。